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第13回(2003/6/23)
『サーカス』("The Circus", 1928)
8/8まで有楽町スバル座で「Love Chaplin ! チャップリン映画祭」が行われています。スケジュール:http://subaru-kougyou.jp/movies/chaplin.html
短編を含めるとチャップリンは数多くの作品を作っていますが、一般的に知られているのは「キッド」(1921)以降の長編映画です。ではどの映画が一番良いのでしょうか?
映画評論家の間で一番評価されているのはおそらく「巴里の女性」でしょう。これはオールタイム・ベスト10でも数多くランクインされているチャップリンの異色作です。一般の映画ファンの間で人気があるのは「ライムライト」だと思います。チャップリン映画すべてに言えることですが、笑いだけでなく「感動」を与える彼の映画の中でもこの映画のラストは特に「涙なくしては見られない」、そんな映画だからだと思います。
でも、私がチャップリンをあまり知らない人にオススメするとしたら、迷わず「サーカス」を薦めるでしょう。「ライムライト」は、彼の集大成とも呼べる作品。彼の映画をある程度見た上で見ると、老いた道化師の姿が彼自身の人生とだぶって、感慨もひとしお。そんな映画だと思います。
チャップリンは映画を芸術にまで高めた人、と言われますが、そんな彼の芸がもっともピークだったのは、1920〜30年代だったと思います。チャップリンは1889年生まれなので、その頃はちょうど30〜40代で「働き盛り」の年代。アクション含め、もっとも油がのりきっていました。その後の作品は芸そのものよりも、よりメッセージ色が強くなった気がします(「独裁者」のラストの大演説のように)。
故淀川長治氏が「黄金狂時代」をベストにあげているのも、そんな理由からかもしれません。「サーカス」は「黄金狂時代」と「街の灯」という傑作の間に作られたので、忘れられがちな作品ですが、その面白さは折り紙つきです。チャップリン映画の王道を行く作品で、そのパントマイム芸はまさに芸術。そしてラストはなんともいえない感動が待っています。
チャップリン映画の素晴らしいところは単なる娯楽映画で終わらないところです。すべての映画になんらかのメッセージがあって、見終わったあとにいろいろ考えさせられる。半世紀以上前の映画とみくびることなかれ、ぜひ映画館で観て欲しいと思います。
評価(5つが最高):★★★★