Mountain Photo Gallery/tsugaike

初夏の栂池高原
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カラマツソウ
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朝陽に輝く
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朝露に濡れて |
キンポウゲの高原 |
風景写真目次
(c)Mitsuo Tabata,1996All Right Reserved
撮影日:July 10,1999
栂池自然園−高層湿原の四季−
高標高の窪地形にできた池や湖は長い年月を継て、流人した土砂や、年間を通しての低温のため完全に分解されることのない植物遺体が泥炭として堆積することによって湿原化してきます。湿原は、低層湿原、中間湿原から高層湿原へと発達段階を経てきますが、それぞれの段階で、当然水分や養分の状態が違うので、そこに生育する植物の種類も異なってきます。
隆起した部分と窪地との混合地形となっていて、この深地に水がたまってできた小さな池を池塘と呼びますが、栂池湿原には、この池塘があちこちに点在しています。高層湿原域は、多雪で雪崩地でもあるため、針葉樹林の発達は妨げられ(それが湿原を発達させる一因でもありますが)、栂池湿原の存在する地点は垂直分布からみると、亜高山針葉樹林帯に位置するものの、景観としては、広々とした明るい印象を受ける一帯となっています。もっとも、栂池自然園内の湿原を離れた斜面では、亜高山針葉樹を代表するオオシラビソやコメツガなどの樹林が発達しています。
さて、栂池自然園は、白馬乗鞍岳の東南山腹の一角にあって、高層湿原の特徴をあますことなく見せてくれる栂池湿原を擁する自然観察園です。標高約1900mから、最も高い所で2020m。広さ約100ha、湿原には、延ぺ5.5qにおよぶ木道が敷かれています。
小谷の里に春が米ても、自然園は前年の1O月末頃から降り積もり統けた雪の中で、未だ冬の眠りの中。自然園の森は、やっと雪溶けの始まる6月中頃に始まり、白い峰も雄大な白馬三山を背景に、見事に群生するミズバショウが、人々の訪れを誘います。雪溶けがすすむにつれ、湿原には、春の花と夏の花が混在し、コバイケイソウ、ニッコウキスゲ、ワタスゲの群生が、太陽の光を浴ぴ、時には幽玄の霧の中で迎えてくれる頃は、もう涼やかな夏です。木道を踏む足元には、湿原特有の小さな花達も数多く咲き、見逃してはなりません。湿原を離れた山路の遊歩道には、ネマガリタケが繁殖し、針葉樹林のほの暗い道を辿ると独得の甘い香りが漂ってきます。これは、オオシラビソの枯れた針葉が出す芳香です。樹林の中では、春からずっと咲き統けるイワカガミ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウなど小さな花達が林床を飾リます。枚挙にいとまのない程、数々の花が咲いては次から次へと、時を譲り、ミヤマトリカブトの濃紫の花が、秋風にゆらめく頃は、湿原に背丈高く育った草達の葉も、寂しい秋色を呈してきます。そして、9月末から10月には、ナナカマドやダケカンバの葉が真紅に或いは黄に色を変え、緋色の秋の陽に踊り、自然園は秋錦繍の幕を張るのです。やがて草紅葉も、赤や紫の木の実も、霜に、雪に隠されて、白く長い冬に眠ります。
出典:石原 敏行著「栂池自然園・花の旅」信濃毎日新聞社 編集