君が逝くまでは一緒にいる。
逝ってしまったら、車の流れのような日常性の時間に戻り
実務をとりしきる・・・。そんなことが可能だと思っていた
私は何と愚かで畏れを知らず、生と死の厳粛な境界に対して
不遜だったのだろう。

江藤 淳「妻と私」より


パパ、私の身体は間もなく死んでしまうのでしょうか。
でも生きているんだなとわかります。今もこれからもずっと・・・。
死ぬって身体がなくなるんだね。
でも私は家族の中で生きているんだもの、死ぬのは怖くない。
だけどこの癌の奴、何とかしてやりたい。
みんなの生活を変えさせてしまったものね。
私の身体が動かなくなったとき、癌は死ぬんだわ。
それで癌との戦いは終わり・・・。
だけど私は死なない。私は皆と生きているもの。



つゐにゆく道とは聞きしかど  昨日 今日とは思わざりしを
                          
                              在原 業平「伊勢物語」

植えし花 わたしの最後のメッセージ 色とりどりに咲けよと祈る
 
                              長尾宣子