12月1日 師走 いよいよ師走。ふと気が付くと吐く息がもう白くなっている、9,10,11月と月日の流れにも気ずかぬまま3ヶ月過ぎてしまった。まるで武藤という家族がブラックホールの中に落ち込んでしまったようだ。子供たちはいったいどんな気持ちで毎日を過ごしているのだろう。もう心から笑える時間なんて持てやしない。
12月3日 抗癌剤続行 腹水がまた溜まってきたようだ。医者から「一度水を抜いてから抗癌剤を再度やりますか?」と訊ねられたが、本人がもう少し我慢するからこのまま続けて欲しいと言った。結果的にこれが腎機能にダメージを与え、終末への引き金になってしまったようだ。
12月4日 外科医って 主治医は今回の抗癌剤治療は否定的だったようで「何故再開を申し出たのかわからない」というようなことを言っていた。それはないだろう。他に術がないから、どんなに苦しくても辛くてももう一回我慢して一縷の希望にかけてるんじゃないか。もう少し患者の家族の立場をわかって欲しい。例え数%でも改善例があればすがりつくのが追い詰められた者のせめてもの救いなのに・・・。
「数%の数字は医学的には効果なしと判定します」そんなことわかってるよ。そんなことで割り切れれば生身の医者なんていらない。ロボットで充分だ。もっと内面的なケアがあるんじゃないか。同じ熱い血の通った人間同士なら・・・。
12月8日 食欲が基本 「6日に腹水を抜いてから今日で3日目。今回は血圧や体力的な問題から1200ccしか抜けなかった。まだ腹が張っているようで、みぞおちおたりがつれるように痛いらしい。転移か?!胸が苦しくなる。本人も腹水を抜いても今回は一向に楽にならないのでショックもあり一日中泣いている・・・。
でもりんどを「お・い・し・い・・・」と食べる。コンビニで買ってきた「ホタテの燻製を、とても喜んで食べてくれた。「食欲が出ると気分も良くなるわ」と帰る頃にはかなり元気な様子で、こんどは寄せ鍋のおじやがたべたいから持ってきて欲しいとせがむ。とにかく食べれるようになって欲しい。すべてはそれからだ。 
    
12月9日 暗転 昨夜とは一転して今日は体調も気分もすぐれないようだ。腹水も溜まる一方で、抗がん剤の効果が現れないことで精神的にも参っている。体力も目にみえて衰えてきているし、年末に向かって不安な材料が増えてしまった。胃のあたりの引きつるような痛みも相変わらずあるらしい。
12月10日 音のない世界 一日中ずっとうとうと寝ている状態だ。吐き気止めの点滴のせいもあるだろうが目のふちに黒いクマが出来て、やつれたのが一目でわかる。

  人の息が消えていきそうなはりつめた空気の中で、音の世界がなくなっていく。そん   な時、風の姿が見える。そしてそんな風の音にひとつひとつの息がかき消されないよ  う戦っているのでしょうか・・・。
12月11日 正月の話 昨日が嘘のように今日はだいぶ回復している。大便がでたせいか、お腹の調子も良いようだ。「お正月は家に帰ってみようかな・・・・」とつぶやく。そのためにも早く体力を戻さないと・・・・。最近はベッドの上で姿勢をかえるのもしんどいらしい。やっぱり食べれないというのが一番堪えているのだろう。
12月13日 食欲? 3度目の腹水処置を行う。2000ccだそうだ。今回は針を刺したまま残してあるそうだで少し痛いという。疲れは出ているようだが、「餃子・ラーメン・まぐろが食べたい」といい、「食べたいと思うだけましなのかもしれないね」と笑って言う。何とかこれで腹水がたまらないことを祈る。

戻る     次へ
闘病日記